【デザイナー玉城が選ぶ】今週のリノベ“原石”マンション3選 in 那覇 (うちなーらいふ編)
執筆:有限会社ウイテック / リノベーションデザイナー 玉城 道矢
2025年11月5日時点
こんにちは。リノベ不動産 那覇泉崎店(有限会社ウイテック)でリノベーションデザイナーをしております、玉城(たまき)です。
「中古マンションを買ってリノベーションする」という選択肢が、那覇市内で賢く、自分らしく暮らすための「最適解」として、今やスタンダードになっています。 しかし、不動産情報サイトを見ても、無数の物件が並んでいて「どの物件がリノベーションに向いているのか、さっぱりわからない」というのが、皆様の本音ではないでしょうか。
間取り図や写真が古くさく見えても、私たちプロの目には「最高の伸びしろを持った原石」に見えている物件が、市場にはたくさん眠っています。
そこで今日は、私、玉城が皆様に代わって、沖縄の住宅情報サイト「うちなーらいふ」様を本気でリサーチ! 「これはリノベしたら絶対に化ける!」と確信した、選りすぐりの「原石」物件を3件、実名とURL(※)付きで、なぜお薦めなのかを徹底解説します。
(※本コラムは2025年11月5日時点の情報に基づき執筆しています。リンク先の物件が成約済みの場合もございますので、ご了承ください)
【今週の一番お薦め】ペガサスマンション曙 201号
- 物件情報: https://www.e-uchina.net/bukken/mansion/m-5588-8250711-0730/detail.html
- エリア: 那覇市曙
- 玉城選考理由: 那覇市内で「120㎡」という圧倒的な広さ。 まさにフルリノベーションの醍醐味を味わうための物件。これほどの「キャンバス」は滅多に出会えません。
デザイナー玉城の視点:なぜ、ここが「今週No.1」なのか
今週、私(玉城)が最も興奮した「原石」が、このペガサスマンション曙です。 理由はただ一つ、「120㎡(約36坪)」という、マンションの常識を超える広さです。
那覇市内の一般的な中古マンション(ファミリータイプ)は、60㎡〜75㎡がボリュームゾーンです。その中で120㎡というのは、まさに「ケタ違い」の広さ。新築マンションでこの広さを求めれば、1億円を超える「億ション」の世界です。
この「広さ」が、リノベーションにおいて何を意味するか。 それは、「間取りの完全な自由」です。
60㎡の空間では「ここにリビングを置くと、子供部屋が狭くなる…」といった「パズル」のような設計になりがちです。しかし、120㎡という広大なキャンバスがあれば、「広いLDK」「各個室」「大型ウォークインクローゼット」「土間収納」「ワークスペース」……これら全てを「全部盛り」にしても、まだ余裕があるのです。
「曙」という立地も、非常に合理的です。 「おもろまち」のような派手さはありませんが、那覇空港や国道58号線、うみそらトンネルへのアクセスが抜群の「交通の要所」。まさに那覇の物流と暮らしを支える「実」のあるエリアです。
玉城のリノベーションプラン案
この物件のテーマは「“理想の全て”を詰め込む、フルスケルトン・リノベーション」です。
-
「間取りの概念」を捨てる:
既存の間取りは一切無視します。すべてを解体し「がらんどう」のスケルトン状態(コンクリートの箱)に戻すことが前提です。 例えば、「25帖のLDK」+「10帖の主寝室」+「6帖の子供部屋2つ」+「大型ファミリークローゼット」+「土間収納」といった、新築分譲マンションでは絶対に不可能な、あなただけの理想の間取りを実現します。 -
「二世帯」や「SOHO」も視野に:
この広さがあれば、単一世帯だけでなく、「親世帯とのゆるやかな同居(キッチンは共有、水回り・寝室は別々)」や、「住居」と「ワークスペース(デザイン事務所やエステサロンなど)」を完全に分離したSOHO(スモールオフィス・ホームオフィス)としての活用も可能です。可能性は無限大です。
【玉城からの重要アドバイス】
選考理由にも書きましたが、一点だけご注意ください。 「面積が広い」ということは、リノベーション費用も当然、高くなります。 床材を貼る面積、壁紙を貼る面積、解体する面積、配線・配管する長さ…すべてが一般的なマンションの「2倍」近くなるからです。
フルリノベーション前提の場合の総予算:5000万円以上
この物件は、「リノベーション費用もしっかりと確保できる」方が、その予算を投下するに値する「最高の素材」である、とご理解ください。逆に言えば、5000万で億ション以上の注文住宅並みにカスタマイズ出来るお家が手に入ると考えればバーゲンプライスとも言えます。
【今週の原石 2】ライオンズマンション壺屋第3
- 物件情報: https://www.e-uchina.net/bukken/mansion/m-6365-8250618-0356/detail.html
- エリア: 那覇市壺屋
- 玉城選考理由: 圧倒的な「立地」の勝利。 飲食店、小学校、全てが徒歩圏。さらに那覇市中心部で「駐車場2台目」の可能性あり。
デザイナー玉城の視点:立地は「買う」しかない資産
2件目は、那覇市のど真ん中、「壺屋」の物件です。 「リノベーションで建物は変えられても、立地だけは変えられない」 これは、私たちの世界での鉄則です。
この物件の価値は、その「立地」に集約されています。 国際通りや牧志公設市場、やちむん通りといった「那覇の文化」を庭のように散策でき、モノレール駅も近い。そして、選考理由にある通り「小学校(壺屋小学校)が近い」というのは、子育て世代にとって何物にも代えがたい価値があります。
逆に、飲食店も多いため、車を手放した「リタイア世代」が、利便性を最優先して選ぶにも最高の立地です。
そして、私が驚いたのは「駐車場2台目の可能性(機械式・抽選)」です。 那覇市中心部では、駐車場1台を確保するのですら困難なのが当たり前です。もし本当に2台目を確保できれば、それは「もう一部屋」分の価値があると言っても過言ではありません。
玉城のリノベーションプラン案
テーマは「立地の利便性を最大限に活かす、上質な“内装”へのこだわり」です。
-
「素材」にこだわる:
物件価格が立地代を反映している分、リノベーション予算は堅実に組む必要があるかもしれません。そこで、大規模な間取り変更(フルスケルトン)は避け、コストを「素材」に投資します。 例えば、壁はビニールクロスではなく、調湿性・消臭性に優れた「漆喰(しっくい)」や「珪藻土」に。床も、質感の高い「無垢材(ムク材)」や「タイル」を採用します。 -
「造作家具」で空間を支配する:
壺屋という土地柄に合わせて、沖縄の工芸品や「やちむん」が美しく映えるような「造作(ぞうさく)の飾り棚」や「間接照明」を設計します。収納でありながら、ギャラリーでもある。そんな上質な空間を演出します。
【今週の原石 3】シティハイツ泉台
- 物件情報: https://www.e-uchina.net/bukken/mansion/m-5489-8250920-0238/detail.html
- エリア: 那覇市小禄
- 玉城選考理由: 希少な「メゾネットタイプ」。 子育て世代に最適な環境(小学校・公園)と、戸建て感覚で暮らせる間取りが魅力。
デザイナー玉城の視点:マンションで叶える「戸建て感覚」
3件目は、那覇市小禄エリアの「シティハイツ泉台」です。 この物件の最大の「原石」ポイントは、マンションでは非常に珍しい「メゾネットタイプ」であることです。
メゾネットとは、1階と2階(あるいは3階と4階など)のように、住戸内が2フロアに分かれている間取りのこと。 「マンションの利便性・管理の楽さ」と、「戸建ての上下分離のプライバシー」を“いいとこ取り”できるのが最大の魅力です。
選考理由の通り、宇栄原小学校や公園が近く、子育て環境は抜群です。
玉城のリノベーションプラン案
「メゾネットは階段があるから間取りが制限される」——これは、半分正解で、半分間違いです。 確かに階段の位置は動かせません。しかし、その「動かせない階段」を、暮らしの「軸」として活かす設計こそが、私たちデザイナーの腕の見せ所です。
テーマは「“縦”の空間を活かす、子育て世代の理想郷」です。
-
1階:家族全員の「パブリックスペース」:
選考理由にある通り、1階はLDKと水回りを集約。家族がワイワイ過ごす「パブリックスペース」にします。 リノベーションのポイントは、「防音性の強化」です。お子様が飛び跳ねても階下(※)に響かないよう、床下に防音材をしっかりと施工します。 (※メゾネットの場合、直下が別住戸でない可能性もありますが、音への配慮は重要です) -
2階:完全に分離した「プライベートスペース」:
2階は、子供部屋と主寝室の「プライベートスペース」として完全に分離。 子供部屋は、今は広い一部屋として使い、将来子供が大きくなったら「壁で間仕切り」できるように、ドアと収納、コンセントを“2部屋分”あらかじめ設計しておきます。これが、長く暮らすためのプロの工夫です。 -
「階段下」を収納として最大活用:
デッドスペースになりがちな「階段下」。ここを余すことなく、掃除機や日用品のストックを入れる「隠す収納」として造作します。