【コラム】「もしも」の時、本当に安全なのは?マンションと戸建て、火災への“強さ”を徹底比較

【コラム】「もしも」の時、本当に安全なのは?マンションと戸建て、火災への“強さ”を徹底比較
コラム

こんにちは、有限会社ウイテックのリノベーションデザイナー玉城道矢です。

この前の三連休に、私の住んでいるマンションの同じフロアで火災がありました。その日、私は朝から出かけていたので、鎮火後に、マンションの管理組合からメールが来て知りました。
幸いにも大きな被害には至らなかったとのことですが、火災に遭われたご家族がご無事であったことに胸を撫で下ろすと同時に、そのとき留守だったので

「もし火が燃え移ってきたら…」 「もし避難が遅れていたら…」

とか心配することなく、

「管理会社に対応してもらい本当にマンションを選んでよかったと思いました。」

これが戸建てだったら全部自分で対応しないといけません。本当に助かりました。
 

私たち有限会社ウイテックは、沖縄県那覇市を拠点に、これまで数多くのマンションリノベーションを手がけてまいりました。そのプロの視点から、お客様の安全な暮らしを守るために、ぜひ知っておいていただきたいことがあります。

それは、「耐火性・防火性」という観点において、マンション(特に鉄筋コンクリート造)は、戸建て住宅よりも格段に安全性が高いという事実です。

本日は、なぜマンションが火災に強いのか、その構造的な理由と、安全性を維持するためにリノベーションで絶対に守らなければならないルールについて、詳しく解説いたします。
 

1. なぜマンションは「火災に強い」のか?

マンションが火災に強い理由は、大きく分けて3つあります。

理由1:燃えない構造体「鉄筋コンクリート(RC造)」

まず最も根本的な理由として、多くのマンションの構造体(柱・梁・床・壁)が**「鉄筋コンクリート」**でできている点が挙げられます。

  • 戸建て(木造)の場合: 主な構造体は「木」です。木材は当然ながら可燃物です。火災が発生すれば、柱や梁が燃えてしまい、最終的には建物が倒壊する危険性があります。

  • マンション(RC造)の場合: コンクリートは、セメント・砂・砂利・水を混ぜて固めたもので、これ自体が燃えることはありません(不燃材料)。中の鉄筋も、分厚いコンクリートに覆われているため、火災の熱が伝わるまでに非常に長い時間がかかります。

建築基準法では、火災時に建物の構造体が倒壊しないよう、材質ごとに「耐火性能」が定められています。木材が数分で燃え尽きてしまうのに対し、鉄筋コンクリートは、火災の熱に1時間以上さらされても強度を保ち、倒壊しない「耐火構造」として認められています。

理由2:火を「封じ込める」設計思想(防火区画)

これが、マンションが火災に強い最大の理由です。

マンションのような共同住宅は、建築基準法によって**「防火区画(ぼうかくかく)」**という考え方で設計することが義務付けられています。

これは、**「火災が発生しても、その火を一定の区画(エリア)に封じ込め、他の場所へ燃え移らせない」**という設計思想です。

具体的には、マンションの**「一部屋(一住戸)ごと」**が、耐火性能のある壁・床・天井(つまり鉄筋コンクリート)で囲まれた「独立した箱」になるように作られています。

  • 隣の家から火が出ても、コンクリートの壁が延焼を防ぎます。

  • 下の階で火が出ても、コンクリートの床が燃え広がるのを防ぎます。

つまり、**理論上は「火元になった部屋だけが燃え、他の部屋には燃え移らない」**ように設計されているのです。 火災があったフロアの他のお部屋がご無事であったなら、まさにこの「防火区画」が正常に機能した証拠と言えるでしょう。

理由3:法律で義務付けられた「消防設備」

マンションは、その規模や高さに応じて、戸建て住宅にはない高度な消防設備(スプリンクラー、自動火災報知機、屋内消火栓、避難はしご、連結送水管など)の設置が法律で義務付けられています。

これらの設備は、専門業者による定期的な「消防点検」も義務付けられており、いざという時に作動するよう維持管理されています。戸建て住宅の「住宅用火災警報器(個人設置)」に比べ、初期消火や避難誘導の体制が格段に整っていると言えます。

 

2. 戸建て住宅(主に木造)の火災リスクとは?

一方、戸建て住宅(主に木造)の火災リスクはどのようなものでしょうか。ここでは、中古マンション+リノベーションと金額で比べる方が多い、沖縄でも増えてきた木造住宅と比較したいと思います。

リスク1:延焼(もらい火)の速さ

木造住宅が密集している地域では、一軒で発生した火災が、強風にあおられて瞬く間に隣の家、そのまた隣の家へと燃え移る「延焼」のリスクが非常に高くなります。

もちろん、現代の戸建て住宅も「準耐火構造」といって、外壁材に燃えにくいサイディングを使用したり、室内の壁に石膏ボードを貼ったりと、火災対策は格段に進歩しています。

しかし、これらの対策はあくまで**「火が燃え広がる速度を遅らせ、住民が避難する時間を稼ぐため」**のものです。マンションの「防火区画」のように、火災をその場で何時間も「封じ込める」ことを目的としたものではありません。

リスク2:構造体の焼失

前述の通り、構造体が木材であるため、火が回れば柱や梁が燃え、最終的に家は倒壊してしまいます。火災保険の観点からも、木造はRC造に比べて火災リスクが高いと判断され、保険料が高く設定されています。

 

3.【最重要】リノベーションで絶対に守るべき「防火区画」

 

さて、ここからが私たちリノベーションのプロとして、最もお伝えしたいことです。

マンションが持つこの鉄壁の「防火区画」ですが、知識のないリフォームやDIYによって、意図せず破壊されてしまっているケースが後を絶ちません。

設計上は安全だったはずのマンションが、リノベーションによって「火災に弱い家」になってしまうのです。

危険なリノベ1:配管・配線を通す「穴」の未処理

リノベーションでは、キッチンや浴室の場所を移動したり、照明を新設したりするために、既存の壁(隣戸境壁)や床(上下階スラブ)に新しく配管・配線用の「穴」を開けることがあります。

この穴は、コンクリートの「防火区画」を貫通しています。つまり、**火と煙の「通り道」**を作ってしまっているのです。

私たちプロは、こうした穴を開けた場合、必ず**「耐火パテ」「耐火充填材」**と呼ばれる専用の部材を使って、穴の隙間を完全に塞ぎます。これは、火災時に熱で膨張し、火や煙が通り抜けるのを防ぐ非常に重要な処理です。

この処理を怠ると、隣の家の火事が、壁の中の配管穴を通って、あなたの家に侵入してくることになります。

危険なリノベ2:玄関ドアの安易な交換

「デザインが古いから」といって、マンションの玄関ドアを自由に交換することは、原則としてできません

なぜなら、マンションの玄関ドアは、廊下(共用部)からの延焼を防ぐための「特定防火設備」という認定を受けた、非常に重要な防火戸だからです。このドアが、火災時に熱で変形し、隙間ができて煙が侵入するのを防いでくれています。

管理組合の許可なく、デザイン性だけの安価なドアに交換してしまうと、マンション全体の安全性を著しく損なうことになります。

危険なリノベ3:火災報知器やスプリンクラーの妨害

間取り変更や造作家具(作り付けの棚)を計画する際、既存の自動火災報知器やスプリンクラーの散水範囲を考慮せずに設計してしまうケースです。

「棚を作ったら、報知器が隠れてしまった」 「スプリンクラーの真下に壁ができて、水が撒かれないエリアができた」

これでは、せっかくの設備が機能しません。リノベーションの際は、これらの消防設備を移設したり、増設したりする専門的な計画も同時に必要です。

まとめ:安全は「設計」と「正しい施工」の上にある

今回、お客様が怖い思いをされた火災。もしその時、「すぐに火が燃え移ってきたら…」とご不安に思われたかもしれませんが、建築基準法に則って正しく施工・管理されたマンションであれば、構造的には非常に安全な場所にいらっしゃったと言えます。

マンションの「火災に強い」という最大のメリットは、鉄筋コンクリートという「素材」と、一部屋ごとに独立させる「防火区画」という「設計」、そしてそれを維持する「正しい施工・管理」によって成り立っています。

私たち有限会社ウイテックは、お客様に美しいデザインや快適な間取りをご提供する以前に、お客様の「命と財産」を守ることを最大の使命と考えています。目に見えない壁の中の「耐火処理」や、法律で定められた消防設備への配慮を決して怠りません。

リノベーションは、暮らしを豊かにすると同時に、住まいの安全性を再確認し、維持・向上させる絶好の機会でもあります。

今回の火災を経験され、ご自宅の安全性についてご不安やご不明な点が出てきたかもしれません。そんな時は、いつでも私たち専門家にご相談ください。沖縄での安全な暮らしを、私たちが全力でサポートいたします。

【ウイテック リノベーション個別相談会】のご案内

私たちウイテックでは、そんな皆様の疑問や不安にデザイナーが直接お答えする**「無料リノベーション個別相談会」**を随時開催しています。

この相談会は、セミナー形式ではなく、お客様一組一組のお話をじっくりとお伺いする個別のご相談会です。

**「まだ何も決まっていないけれど、話だけ聞いてみたい」**という方も、もちろん大歓迎です。 コラムではお伝えしきれなかった沖縄の豊富な施工事例の写真をお見せしながら、お客様の「総予算」の中で、どのような「理想の暮らし」が実現できるかを一緒に考えます。

ぜひ、皆様の夢や悩みをお聞かせください。

▼無料リノベーション個別相談会 概要

  • 日時: 随時開催中(完全ご予約制)

    • ご希望の日時を第3希望までお知らせください。

  • 場所: 有限会社ウイテック オフィス

    • 沖縄県那覇市泉崎1丁目13−23島田産業ビル703号室

  • 参加費: 無料

  • ご持参いただくとスムーズなもの(任意):

    • 検討中の物件資料(間取り図など)

    • 理想のイメージ写真や雑誌の切り抜き

    • 現在のお住まいの図面 など

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