先日、お客様から「3年固定にしていた住宅ローンの金利が更新され、1.5%から1.9%に上がってしまった」という、切実なご相談をいただきました。 ほんの数年前まで「超低金利」と言われていた時代は終わり、私たちは今、明らかな「金利上昇局面」に立たされています。
このような時期、多くの方がこう考えます。 「金利が上がるなら、今は買う(借りる)べきではない」 「金利が落ち着くまで、あるいは下がるまで『待つ』のが賢明だ」と。
しかし、私たち住まいのプロから見ると、その**「待つ(=先延ばしにする)」という選択こそが、将来的に最も大きな金銭的デメリットを招く可能性が高い**ことを、ぜひ知っておいていただきたいのです。
なぜ「待つ」ことが不利になるのか。その理由を3つの側面から解説します。
1.「総支払額」の現実。0.4%の差が数百万円の差になる
まず、金利上昇が家計に与える影響を、具体的な数字で見てみましょう。 ここでは「3,000万円」を「35年ローン(元利均等)」で借りたと仮定します。
【ケース1】金利 1.5% の場合
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毎月の支払額:約 80,483 円
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35年間の総支払額:約 33,802,860 円
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(うち利息分:約 3,802,860 円)
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【ケース2】金利 1.9% の場合(今回のお客様のケース)
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毎月の支払額:約 86,051 円
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35年間の総支払額:約 36,141,420 円
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(うち利息分:約 6,141,420 円)
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今回のお客様が直面した「0.4%」の上昇。 これにより、毎月の支払いは「約5,500円」増え、35年間で支払う利息の総額は「約233万円」も増えてしまったことになります。
では、もし「先延ばし」にして、さらに金利が上昇し「2.5%」になった場合はどうでしょうか。
【ケース3】金利 2.5% の場合(「待ち」続けた未来)
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毎月の支払額:約 96,491 円
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35年間の総支払額:約 40,526,220 円
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(うち利息分:約 10,526,220 円)
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【ケース1】の1.5%時代と比べると、**毎月の支払いは「約16,000円」も増え、総支払額の差は「約672万円」**にも達します。
「たった1%」と侮ってはいけません。住宅ローンという「長期間・高額」の借り入れにおいて、金利1%の差は、新車一台分、あるいはそれ以上の金額差となって、確実に家計にのしかかってくるのです。
2.「建築コスト上昇」という、もう一つの時限爆弾
「先延ばし」のデメリットは、金利だけではありません。 私たちリノベーションのプロが今、金利と同じくらい(あるいはそれ以上に)危機感を持っているのが**「建築コストそのものの上昇」**です。
皆様もご存知の通り、ウッドショックやウクライナ情勢、円安の影響で、木材、金属(鉄骨・アルミ)、石油製品(断熱材・塩ビ管)、半導体(給湯器・コンロ)など、リノベーションに必要なあらゆる資材の価格が高騰し続けています。
さらに、沖縄では職人不足による「人件費」も上昇傾向にあり、建築コストは下がる要因がありません。
【「先延ばし」が招く最悪のシナリオ】
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「金利が下がるまで2年間待とう」と決めたとします。
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2年後、もし金利が運良く下がったとしても、リノベーションの工事費用そのものが10%値上がりしていたら、どうなるでしょうか?
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「1,500万円」でできるはずだったリノベーションが、「1,650万円」になってしまいます。
金利が下がるのを待っている間に、借り入れるべき元金(物件価格+リノベ費用)そのものが増えてしまっては、元も子もありません。 金利上昇と建築コスト上昇の「ダブルパンチ」を受ける。これが「先延ばし」の最も怖い現実です。
3.「払い続ける家賃」と「失う時間」という機会損失
「先延ばし」にしている間、忘れてはならないのが、今お住まいの「家賃」です。
もし今、賃貸マンションに住んでいる場合、その家賃はいくら払っても、1円も自分の資産にはなりません。
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例えば、家賃10万円の賃貸に住み、「2年間」様子を見たとします。
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その間に支払う家賃総額は、10万円 × 24ヶ月 = 240万円 です。
金利が下がるのを待っている間に支払った240万円は、将来の住宅ローン返済を楽にしてくれるものではなく、ただ消えていくお金です。 その240万円があれば、新しい住まいの頭金にしたり、リノベーションのグレードを上げたりできたはずです。
さらに、お金には換算できない「時間」というコストも失っています。 「子供が小さいうちに、広いリビングで過ごしたかった」 「あの快適なキッチンで、もっと料理を楽しみたかった」
リノベーションで手に入るはずだった「理想の暮らし」をスタートさせる時期が、2年、3年と遅れていく。この「機会損失」は、決してお金で取り戻すことはできません。
結論:「様子見(先延ばし)」こそが最大のリスク
金利上昇局面で「今は動くべきではない」と考えるのは、一見すると慎重で賢明な判断のように思えます。
しかし、
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将来の金利は、今よりさらに高くなっている可能性(総支払額の増加)
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将来の建築コストは、今より確実に高くなっている可能性(元金の増加)
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待ち続ける間の「家賃」という支出(資産にならないコスト)
これら3つのデメリットを冷静に天秤にかけると、**「様子見(先延ばし)こそが最大のリスク」**であると、私たちプロは考えています。
「あの時(1.9%の時)に決断しておけば、数百万円も得したのに…」 そう後悔しないためにも、もし購入やリノベーションを本気で検討されているのであれば、「待つ」のではなく、**「今、動く」**ことを強くお勧めします。
今、決断し、住宅ローンを組むこと。それは、「これから先の金利上昇リスク」から自分の身を守り、「現在の金利」と「現在の建築コスト」を“固定(ロック)”するという、最も有効な防御策なのです。
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